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2020年7月

累々たる髑髏【1909.4.25 大阪毎日】

人骨を混ぜた薬を製造販売している疑いで熊本県長洲町の売薬商を警察が捜査した結果、長崎に共犯者がいることが判明、隠した大量の人骨が発見された。骨を保管していた者は毎晩、幽霊の夢にうなされていた。

●累々たる髑髏
人骨製の売薬=夢中の幽霊

熊本県玉名郡長洲町売薬商長谷川折吉の製造販売する売薬楽寿丸には人骨を混ぜ居<を>るやの疑<うたがひ>あり、同地警察署にて捜査の結果長崎に関係者ありて多くの人骨を貯へ居<ゐ>ることを探知し同地梅香崎警察にて探索の結果北村寅吉(水上警察の元小使)七迫孫太郎(強盗前科者)道上作太郎(長崎ホテル元ボーイ)田光喜作(肴小売人)の四名の関係者及び叺<かます>四俵に詰めある人骨(頭蓋骨<とうがいこつ>十九、下肢骨二十)其の他合せて百二十斤〔72キロ〕余を前記七迫方裏の物置小屋より発見し猶別に長洲海岸共同墓地の西の隅にも髑髏百余個を埋葬しある事を発見したり。その中には生々しきものもありし由なり〔/〕

長谷川は三十五年〔明治35(1902)年〕頃より売薬製造を企て当地にて人骨売買の利益多きを聞き長洲海浜墓地が砂地にて発掘に便利なるより北村と謀り<ひそか>に発掘にかゝり田光をして支那人〔中国人〕に売り込ましめんとせしも<うま>く行<ゆ>かず其儘と為<な>しありしに昨年当地県庁敷地にて髑髏発掘事件あり田光は以来恐怖心を生じ毎日幽霊に魘<おそは>発狂せんばかりとなりしより七迫に情を明し骸骨の保管を托したるに不思議にもその家族等<ら>毎夜<まいよ>骸骨の夢を見て眠る事出来如何なる悪徒も困<こう>じ居たる内今回の検挙に遇ひし旨を自白したり昨年県庁敷地より出<いで>しものも長洲地方より持ち来りしとのみにて関係者不明なりしが今回の事件によりその出所を明かにするを得<う>べし(長崎来電)

大阪毎日新聞 明治42(1909)年4月25日・11面

青い火の燃える怪しい家を捜索【1926.4.25夕 大阪朝日】

大阪で青い火が燃えると評判の家を警察が捜索すると、缶に入った人骨と脳が出てきた。人間の脳を梅毒薬として売っていた疑いで、警察は家の主を追及している。

青い火の燃える
怪しい家を捜索
押入の中から発見した
鑵詰の人骨や脳味噌

大阪浪速区新川町仲仕〔荷役〕 佐々木伝吉〔ママ〕方の裏庭で先頃から青い火がもえ上るので附近の評判となり、芦原署は二十三日夜同家を包囲し家宅捜索をすると、押入中のブリキ鑵とミルク鑵の中〔ママ〕人間の骸骨や脳味噌が出て来たので健吉を引致取調中である、〔/〕

同人の申立によると先年同人の実父仙矢(七十二)が病死した際阿部野〔阿倍野〕火葬場で火葬し、それを拾つて来たものであるといつてゐるが自分が梅毒に罹<かゝ>つたさい人間の脳味噌で治療したことがあり最近附近の清川佐一に梅毒の薬として与へたこともあり梅毒薬として専門に売つてゐるのではないかと同所〔同署〕で追究中である

大阪朝日新聞 大正15(1926)年4月25日夕刊・2面

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