『八幡の藪知らず』に入りたちまち気違ひとなる!【1930.9.20 読売】
神戸から来た男が千葉県八幡町の「八幡の藪知らず」に入り、竹を切って出て来ると、大声で訳の分からないことを叫んで暴れ出した。
『八幡の藪知らず』に入り
たちまち気違ひとなる!
昭和の世にテモ奇怪なグロ物語
【船橋電話】 水戸黄門記で馴染の深い例の千葉県八幡町〔現・市川市〕の竹藪『八幡の藪しらず』入<いり>込んで忽ち気違ひになつて仕舞つたと云ふグロテスクな物語――
▽……
主人公は神戸市菅原通り二ノ一四、浅野銀二(四五)と云ふ男、十九日午後五時ごろ突然、藪前の茶店に現れて『入らずの藪だなんてソンナ馬鹿/\しい事があるものか、俺が入<はい>つて見せてやる』と折柄<をりから>付近町民が『祟りが恐ろしいから止<や>めよ』と止<とゞ>めるのも聞かず、手斧を片手に七五三〔しめ〕縄を切って入<い>り込み、十四、五本の竹を斬って間もなく出て来たと思ひきや、急に頓狂な声を張り上げて『ヤイ誰だ、入らずの藪なんかへ入<はい>り込む奴は』と付近の田中勝次方へ駈け込み、大声で訳のわからない事を呶鳴りながら暴れ出すと云ふ有様。
読売新聞 昭和5(1930)年9月20日・7面
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