歩兵一連隊の稲荷祭り【1934.4.21夕 読売】
東京・赤坂歩兵第1連隊の営庭にある池は乾かすと神罰があるとされる。昨年に水を抜いて掃除すると、富士裾野で演習中の隊員が日射病に罹患。連隊では神意を鎮めるため、営庭内の稲荷神社の祭りを盛大に行った。

歩兵一連隊の
稲荷祭り
お赤飯に兵隊さん大喜び
□=そのむかし毛利公の屋敷であつた当時からいろ/\の伝説を秘めて赤坂歩兵第一連隊の営庭にある稲荷さまと厳島神社のお祭りを桜ざかりの廿日、兵隊さんの相撲や『さくら音頭』の余興つきで賑々しくやつた。
□=このお宮の池は『神の水』と呼ばれて水を汲んだり渇かしたりすると、必ず神罰があたる、昨年夏は池を乾して掃除をしたところがたちまち富士裾野の日射病騒ぎ〔1933年7月裾野で演習中の第一連隊で日射病が発生、8名の死者が出た〕を惹き起した、「それ神罰だ」とばかり恐れをなした連隊では早速、鯉をはなして神意を鎮めたといふ歴史つき―
□=で、今年は特に武運長久を祈つて盛大にやらうといふところから、兵隊さんは調練を休んでお赤飯に頭<かしら>つきの御馳走、営門は午後一時から四時まで開けツ放し、市民にも景気よくお賽銭を投げてもらつたが、兵隊さんたち、ちよつとお宮を拝んでは桜を仰いで『毎日、お祭りをやつてもらひてえ』【写真はお祭り】
読売新聞 昭和9(1934)年4月21日夕刊・2面
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