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〔住職の写真に新仏の姿〕【1879.1.14 かなよみ】

保土ケ谷の寺の住職が横浜で写真を撮った。現像すると、後ろにぼんやり女の姿が写っている。写真を見た住職は青ざめた顔で「これは最近亡くなって自分の手で供養した女だ」と語った。

○然も開化の真ツ魁<さきがけ>横浜港に似合ぬ怪談きゝこんだまゝ書載<かきのせ>ますが多分誤聞でありませう〔/〕

三日跡〔2-3日前〕同港宮崎町「伊勢山」の写真師三田菊次郎方へ来た保土ケ谷駅の天徳院の住職何某はガラス撮<どり>を頼みたいといふので主個<あるじ>は承知と支度をして例の暗室へ這入<はひり>やがて写してニスをかけ<すか>して見るとこれは不思議和尚の後ろへ忙然<ぼんやり>と女の姿が写<うつゝ>たので三田は不審に思つたが大かた後ろから隣りの神さんでも覗いたのだらうとさのみ心に掛ずに居ると和尚は頻りと聞咎め、「見せてくれろと頼むからガラスを渡すと見て吃驚<びつくり>。「実にこれは稀妙<きたい>/\此女は一昨夜近村から参つた新仏<しんほとけ>然も愚僧が香剃<かうそり>〔死者に剃髪のまねごとをして戒名を授けること〕を致してよく存じて居る<それ>が一所〔一緒〕に写たは何か因縁のあることかと流石<さすが>の和尚も色青ざめそこ/\にして帰つたが此三田先生は有名の開化人更に信じては居られぬが<も>しほんとうなら所謂<いはゆる>理外の理とでも言ふかと或る人が話されました

かなよみ 1879(明治12)年1月14日(火)1面

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