怨霊のオート【1937.8.4 東京朝日】
東京・小石川区の運送店のオート3輪車が牛込区で外濠の柵に激突、運転手は即死した。このオート3輪車は運送店が非常に安く買ったものだが、最初に運転した息子が精神に異常をきたして船から投身したという曰くつき。
怨霊のオート
三日午後三時頃、小石川区〔現・東京都文京区〕指ケ谷町三五、沢田運送店方運転手、萩原秀夫(二一)がオート三輪車に西瓜を満載、荷主の青物商、磯貝留吉(三六)を同乗させて牛込区〔現・新宿区〕船河原町八先を疾走中、ハンドルを失して車を外濠の柵に激突、磯貝は振落<ふりおと>されて軽傷を負つただけであつたが、萩原は車諸<もろ>共もんどり打つて濠に転落、即死。
このオート三輪車は去月中旬、沢田方で非常に安く買つたものだが、最初に運転した倅の英一(二五)が三日目に運転中、精神に異状を来して家出、東京湾汽船〔現・東海汽船〕から投身してしまつたと言ふ。
東京朝日新聞 1937(昭和12)年8月4日(水)
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