« 青鉛筆〔流言赤マントの怪人〕【1939.2.23 東京朝日】 | トップページ | 怪談猫娘【1893.9.2 読売】 »

老婆死霊に取附かる【1910.7.10 東京日日】

東京・両国橋付近から投身した老婆が救助された。警察の調べに対し、老婆は川の中から2人の女に手招きされたと回答。現場は2年前に女2人の死体が漂着して以来、たびたび死体が発見されており、死霊の仕業と噂されている。

老婆死霊取附かる
女二人の怨霊が残る

八日夜<よ>十時半頃本所区〔現・東京都墨田区〕元町両国橋際共同便所の傍より一人<にん>の老婆が投身したるが<たちま>ち大声を揚げて救を求むるより<たゞち>に引上げ本所署へ連れ行き取調べたるに此老婆は浅草区〔現・台東区〕千束町皮職藤本由蔵の母お幾(八十五)と云ひ同夜八時頃入浴せんと自宅を出でし儘万世橋際迄ふら/\と迷ひ来りしに〔原文「来<きた>たりしに」〕急に此世が厭になり思案し乍<なが>ら両国橋まで辿り来り前記の場所に佇み居たるに二人の若き女が河の中<うち>に現はれ頻りに手招ぎするより何心なく近寄らんとして河中へ陥り始めて〔初めて〕気が附き救を求めたるなりと申立<まをしたて>て直に浅草署へ照会せしも千束町には前記藤本なる者無しとのことに目下同署にて保護中なるが老婆の投身したる場所は一昨年八月中女同士抱<いだ>き合ひて投身したる死体が漂着せし場所にて是迄同所に死体の漂着する事度々なれば、「必定死霊の所為ならんと担ぎ連は大評判を為し居れりと

東京日日新聞 1910(明治43)年7月10日(日)

« 青鉛筆〔流言赤マントの怪人〕【1939.2.23 東京朝日】 | トップページ | 怪談猫娘【1893.9.2 読売】 »