省線駒込駅魔のホーム供養【1927.8.16夕 東京朝日】
自殺が多い東京・駒込駅のホームは「魔のホーム」と呼ばれ、作業員も恐れている。それでは業務に悪影響と駅長が施主となり、自殺者供養をすることになった。
省線駒込駅
魔のホーム供養
新築以来絶へぬ自殺者に
をぢ気立つ従業員
省線山手線駒込駅は大正十三年五月、改築したものだが、移転以来、同駅構内ホームから飛込み自殺を計る〔図る〕者、非常に多く、俗に魔のホームと呼ばれて従業員間にすら恐れられてをり、石倉駒込駅長は「こんな状態では従業員の能率にも影響する」といふので、来る十八日午後一時から駅長自ら施主となり、同ホームおよび近くの踏切に祭壇を設けて飛込み自殺者の大追悼会<ゑ>を催すことになつた、〔/〕
当日は浅草田原町〔東京都台東区〕寿松院から数名の僧りよが出張し、高原新橋運輸事務所長外<ほか>、東鉄〔東京鉄道局(現・JR東日本東京支社)〕の高等官連も多数列席の上、湿<しめ>やかに供養するはずであるが、同駅構内の自殺者は去る二月九日の埼玉県浦和町〔現・さいたま市〕素封家の娘、青羽いつ子外二名、六月二十八日の星島〔二郎(1887-1980)〕代議士令弟、星島三郎氏の自殺を始め、改築以来、既に九名に達してゐる。
東京朝日新聞 1927(昭和2)年8月16日(火)夕刊
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