子供に祟る長家【1901.7.10 二六】
東京・小石川で女が流産した子の死体を遺棄する事件があったが、女の住む長屋にはかつて貰い子殺しをした者が住んでいた。その祟りか、この長屋で満足に出産した者はいないという。
○子供に祟る長家 昨日、小石川区指ケ谷町〔東京都文京区白山1-2・4-5丁目〕百四十五番地、研物業<とぎものげふ>、鈴木常吉の妻ヤス(三十六)が流産し、其の子を土器<かはらけ>に入れ、打捨てたるやう記載せしが、同人の住<すま>ひ居る長屋は去る卅二年〔明治32(1897)年〕一月、長谷島吉の妻及び須永宇吉の妻と共謀して貰ひ子を埼玉県へ里子にやると称して連出し、同所大岡川に投込みたる跡にて、其貰ひ子の祟りか有らぬか、件の長家へ来る程の者、住ふ程の女、何<いづ>れも満足に出産したる者なく、前記鈴木の妻も今回にて三度目の流産なりといふ。
二六新報 1901(明治34)年7月10日(水)